🔬 褥瘡(じょくそう)とは
褥瘡(床ずれとも言う)は、持続する圧迫・ずれ・摩擦により皮膚・皮下組織が損傷した状態です。寝たきりや長時間の同一体位が主な原因です。
🔴 褥瘡の発生要因: 圧迫(最大因子)+ずれ力+摩擦+湿潤+栄養不良+加齢による皮膚脆弱性。すべての要因に介護が介入できる。
| 好発部位 | 対応する体位 | 予防の体位変換先 |
|---|---|---|
| 仙骨部(最多) | 仰臥位 | 側臥位30°へ変換 |
| かかと(踵骨部) | 仰臥位 | 下腿にクッションを入れかかとを浮かせる |
| 大転子部 | 側臥位90° | 30°傾斜側臥位に調整 |
| 坐骨部 | 長時間の座位 | 1〜2時間ごとに除圧・プッシュアップ動作 |
| 後頭部・耳介部 | 仰臥位・側臥位 | 頭部位置の変更・枕の調整 |
📊 DESIGN-R®(褥瘡評価スケール)
日本褥瘡学会が作成した褥瘡の重症度評価ツール。各項目の頭文字でDESIGN-R。
| 文字 | 評価項目 | 内容 |
|---|---|---|
| D | 深さ(Depth) | 0(正常)〜U(深さ判定不能)まで段階評価 |
| E | 滲出液(Exudate) | 量・性状を評価 |
| S | 大きさ(Size) | 長径×短径(cm²) |
| I | 炎症・感染(Inflammation) | 局所炎症・感染・全身感染の有無 |
| G | 肉芽組織(Granulation) | 良性肉芽の割合 |
| N | 壊死組織(Necrotic tissue) | 壊死組織の有無・種類 |
| P | ポケット(Pocket) | 皮膚の下にできた空洞の有無 |
💡 DESIGN-Rは点数が高いほど重症。低下(改善)を目標とする。介護士は創部の観察と記録を行い看護師・医師に報告する役割を担う。
🔄 体位変換の実践
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 頻度 | 原則2時間ごと。ただし体圧分散マットレス使用時は状態に応じて延長可 |
| 側臥位の角度 | 30°傾斜側臥位が推奨。90°は大転子部への圧迫が高い |
| 移動時の注意 | ずれ・摩擦を最小限に。スライディングシート・スライディンググローブを活用 |
| かかとの除圧 | 下腿にクッション → かかとを浮かせる(かかとは絶対に接地させない) |
| ポジショニング | 関節を良肢位に保ち、除圧と機能維持を両立させるクッション配置 |
| 記録 | 体位変換の時間・角度・皮膚状態を毎回記録 |
⚠️ 「ずれ力」: ベッドを起こした時に身体が下方へずれる力が仙骨部の組織を引き裂く。ギャッジアップは30°以内に留めるか、足元を先に起こして骨盤の固定を確保する。
🩹 褥瘡予防の4本柱
① 圧迫除去
2時間ごとの体位変換。体圧分散マットレスの使用。車椅子でのプッシュアップ動作(1時間ごと)。
② 皮膚管理
失禁後の素早い清拭。乾燥肌への保湿。摩擦を避けるスライディングシートの活用。
③ 栄養管理
タンパク質・ビタミンC・亜鉛の充足。低栄養は褥瘡の最大リスク因子の一つ。
④ 観察と早期発見
入浴・清拭時に全身の皮膚を観察。発赤・皮膚の硬化・色調変化を見逃さない。
🔴 褥瘡ステージ(NPUAPの分類)
| ステージ | 状態 | 介護士の対応 |
|---|---|---|
| ステージ1 | 発赤(消えない赤み)。皮膚は損傷なし | 即座に除圧・看護師に報告。これ以上悪化させない |
| ステージ2 | 表皮〜真皮の部分欠損。水疱・浅い潰瘍 | 看護師・医師が治療。介護士は除圧継続・記録・清潔保持 |
| ステージ3 | 皮下組織まで欠損。深い潰瘍 | 医療チームによる処置。介護士はケア継続・ずれ防止 |
| ステージ4 | 骨・腱・筋肉まで達する全層欠損 | 高度な医療処置が必要。生命予後にも影響 |
💬 Dialog 体位管理と褥瘡予防
🛏️ Dialog 1 — 褥瘡発見時の報告
介護士
看護師さん、入浴介助中に田中様の仙骨部に3cm×2cmほどの発赤を確認しました。消えない発赤です。
Suster, saat bantu mandi ditemukan kemerahan sekitar 3cm×2cm di area sakrum Bu Tanaka. Kemerahan yang tidak hilang.
看護師
ありがとうございます。すぐに確認します。最後に確認したのはいつですか?
Terima kasih. Segera saya periksa. Terakhir dicek kapan?
介護士
昨日の清拭時にはありませんでした。今日の入浴が初めての確認です。写真も撮りました。
Kemarin saat lap badan tidak ada. Ini pertama kali terlihat saat mandi hari ini. Saya juga sudah foto.
看護師
よく気づいてくれました。今夜から2時間ごとの体位変換を強化して、30°側臥位を徹底してください。
Bagus sekali kamu memperhatikannya. Mulai malam ini perkuat rotasi posisi tiap 2 jam, dan konsisten dengan posisi miring 30°.
🔄 Dialog 2 — 体位変換の声かけ
介護士
山田さん、2時間経ちましたので体位変換をしますね。今から右向きにしますよ。
Pak Yamada, sudah 2 jam, saya ganti posisi ya. Sekarang miring ke kanan.
山田さん
わかりました。よろしくお願いします。
Mengerti. Terima kasih.
介護士
(体位変換後)背中とお尻の皮膚を確認しますね。赤くなっているところはないですか。今日も問題ありませんでした。記録しておきます。
(Setelah ganti posisi) Saya periksa kulit punggung dan bokong ya. Ada yang memerah? Hari ini juga tidak ada masalah. Saya catat.